入水から現在に至るまで・1

久我

2010年07月25日 00:07

22日の出来事。一部簡略化。

その日は様々な事に絶望し、前日から用意していた遺書代わり(実際は正式な遺書にはならない)をブログにupして死に場所を探しに出た。



家を出る前、青葉嬢の為にたらふくチモシー(牧草)を入れ、水ボトルは小さい予備もくっつける。
ひとしきり無言で撫で、お別れを簡潔に述べた。青葉はただでさえ寂しそうだったのだが、更に寂しい顔をした。

出掛ける前に飯代わりに飲んでいたミルクティーやミルクコーヒーが、やけに身体に染み渡る感覚を覚えている。
まともに食事や睡眠が取れなくなっていたので頭もボーッとした状態で家に包丁を忘れてきた。何故か代わりにミルクコーヒーが握られていた事に気付き、苦笑。
戻るのも馬鹿らしく、青葉を見て決心が揺らぐのが嫌だったので帰らず死に場所探しに没頭した。


鶴とは連絡繋がらず、最後の言葉はメッセージとして留守電に残した…。


所持品はドリンクの入ったビニール袋と携帯と家の鍵だけ。
電車も無い深夜だったので歩いて[なるべく周囲を汚さない死に場所]を探してさ迷った。

すぐに目についたのは川だった。川幅もあるし、仮に救出に向かわれても時間が○分は最低でも掛かるし簡単には助けに来れない。…これだ!
何処かぼんやりした頭でフラフラしながら色めき立った。

…前日、実はいつでも死ねるように包丁持ち歩いていたのだが、こんな時に限って持ってくるのを忘れた事を悔やんだ。


最初は橋から飛び降りようと思っていたが柵を乗り越えてふとデメリットに気付き、人気(ひとけ)の無い土手からを選択。
所がその日に限って本当に何処行っても人が切れない。
時間ばかりが過ぎていき、苛々が募りはじめた頃にから電話がきた。

何も考えずに出て、色々と話したが決心は揺るがないので蒼には苦労かけたな。
話しながらも場所探しであちこち歩きまくっていたが、電話切った頃には4時台に入ったので焦りが出てた。

結局最初の橋近くからフェンスを乗り越えて土手からポイント探しを始めたが、蟹や魚が異常な数居て、魚なんか突如近くを跳ねたり波紋を広げながら凄いスピードで泳ぎ捲ったりで…。
何だか生命力に圧倒されて、その力強さが怖くなった。

職場の仲間に『行けなくなりますとお伝え下さい』とメールする。携帯の電源を落とし、鍵とドリンクと共にそこへ置いて対岸少し上流から入水した。

川の水は濁ってはいるが思っていたより汚くない。冷たいかと無意識に身構えていたが、少し温い気すらした。


真ん中辺りまで泳ぎ、少し天を仰ぐ。
空はやけに広く、明るくなりつつあった…。


結構流されるスピードもあるようだ。
2・3潜って息を吐くも橋を潜る頃にはまだ意識が途切れない。
橋の下辺りで何度か潜ったりしてる内に、いつの間にか記憶が無くなった…。

今となってはぼんやり空と周囲の音や声が記憶に記録されている。
思えば完全に意識を失ってなかったのかも知れないな。


川の水は家の水道水より腹壊さないイメージ。意外と飲めちゃうもんだなって覚えてる(苦笑)
今は飲もうとか思わないが、当時カルキ臭く無いし何だか不思議な優しい印象だった。


【続く】

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