入水から現在に至るまで・3

久我

2010年07月27日 18:00

入水から現在に至るまで・2】の続き

『何で此処に居るんだろう』とか『寒い』ってのが頭の中をぐるぐるする。
周囲(病院)の人達に服脱がされて・色んな物付けられて・あちこち注射されて…タオルケットみたいな物を掛けてくれたけど寒かった。
サークル活動みたいなノリで時々笑いながらテキパキ動いてるのが分かる。

それを見ながら『(緊急)医療現場は思っていたより軽いノリの連中で良かった…(=真面目過ぎたり重過ぎたりすると耐えられずに精神が持たなくなるから)』と安心したと同時に、『意識ある奴(患者)のタイプ次第じゃ傷付くだろうな…』と何となく悲しくなった。

何度かベッド移動して、川の水で汚れてるからシャワーで洗おうという事になり、先程の物とはまた違うベッドへ。
運ばれた先でおねーさんに「ビオレでもいいかなー?」と言われつつ、わしゃわしゃ洗われた。
その時のかなりデカいシャワーヘッドからの湯が気持ち良く、初めてホッとした。


その後の注射で「Aライン入れた?意識あるのにAライン取るのは可哀相だなぁ」って言ってたかな。
ただでさえ血管細くて注射は手の甲か手首からお願いする位なので、冷えて更に細くなった血管探しに苦戦してたな…。
左手首に針が入った時、痛くて思わず呻いたら「お、痛覚戻ってきたな!さっきまでは何しても痛がらなかったからなー。」と少し嬉しそうな声がした。


俺的には鶴と青葉嬢の事が気になり始めていて、気持ちは半分何処かへ行ってた。


鶴は忙しくて暫く顔を合わせてないし、事前に喧嘩もしちゃったしな…。
青葉嬢にはチモシー(牧草)や水を沢山用意しといたが、あの寂しそうな顔が忘れられない。
二人とも大丈夫だろうか…。


[自殺=無責任]は判るが、それに至るまでには一言で片付けられないものが根底にある。
それでも案外自分より他人が気になるもんだな、と気付いた時には髪にドライヤーを掛けられた。


若い男がドライヤー掛けてくれたが、その直後におねーさんが「生乾きじゃない!!」って言ってしっかり乾かしてくれた(笑)



緊急用の病室に移動した。
重ねられた布団の中でぼんやりしながら『死ねなかったな…』と悔しくなった。

両手首に点滴があるっぽく、手首を少し動かすと痛い。重い頭を動かして周囲を見渡すと両サイドをカーテンで仕切られていて、近くにビニール袋に纏められた俺の服があった。正面には忙しそうな病院の人達。

…暫くすると警察や医者が単身で入れ替わり立ち替わりで軽く色々聞いてきた。
脅されたり・川に落とされたりといった事が無かったか、確認を取りたかったらしい。
何人かと話したが誰一人として自殺しようとした事を責める者はない。
そういやこういう場合は責めちゃいけない(繰り返す率が跳ね上がる)って何かで読んだのを他人事のように思い出した。

再三に渡り連絡先を聞かれたが携帯は川の土手に置いてきてしまったし(警察が発見して拾得物として預かってる)、仕方ないので実家の電話番号を伝えておいた。
救急車などで聞かれた実家の電話番号は前半は合っていたが後半は全く違っていて…。どちらが間違えたか分からないがソレには思わず苦笑した。



【続く】

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